原因はともかく、この歯髄の炎症を押さえることにより知覚過敏の抑制効果が期待できます。
消炎鎮痛剤の服用は、根本的な治療ではありませんが、その他の治療と合わせて行うことにより
比較的良好な結果が得られます(治癒率:約50%)。
レーザーは、赤外線領域の電磁波のうち単一の波長を取り出し臨床に用いられたものです。
レーザーは、出力の大きさによってソフトレーザーとハードレーザーに分けられています。
私の医院で使用しているレーザーは、60Wまで出力可能なハードレーザーですが、
知覚過敏に応用する場合は2Wの出力で照射しています。
知覚過敏に対するレーザーの作用メカニズムにも統一された見解がありません。
しかし、使用するレーザーの種類,出力,所用性質からして、有機質に対する熱作用が
主たる作用だと思います。何れにしても、象牙質の歯質変化による異物性の除去により
有効性を発揮します。数回のレーザー照射で、有効率90%以上と非常に好成績をあげています。
私の医院で使用しているコーティング材は、露出した象牙質に対して強力な接着性を有し、
生体諸組織に対して優れた親和性を有したプラスティック(UMDA系レジン)です。
前処置として、変質した象牙質中の無機質および有機質を除去し、親和性に優れた堅い
被膜で封鎖しますので、有効率90%以上と非常に好成績をあげています。
コーティング材単独使用例では、ブラッシングにより約半年で被膜は磨耗してしまいますが、
その間に硬組織の再形成が進み効果が永久的に認められる場合も決して稀ではありません。
歯牙欠損の大きな症例では、コーティング材の上に更に硬質レジンを充填しています。
硬質レジンの磨耗,脱落は、従来のものに比べ非常に少なくなっていますが、
元々の深い欠損と知覚過敏故に、充填直後の知覚過敏抑制率は低いようです。