このコーナーでは、日常臨床で心に残った症例を紹介します。臨床こそが、私の恩師です。
ナチュラルヒストリー
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12年放置!! 何とも無惨な!!
53歳 女性 26本残存
12年後 65歳
 放置しておけばどうなるか…というよりも…普通にしていればどうなるかという事実は、 臨床症例を示すまでもなく( ナチュラルヒストリー Tナチュラルヒストリー U) 身近にいらっしゃる高年齢者の口腔内を思い浮かべてください。
 いつの頃からか、入れ歯人生が始まって、最後には必ず?総入れ歯状態になっています。 その方たちが“歯磨きをしなかったとか、歯医者に行かなかったか”というと決してそうでは なかったはずです。それなのに…こんなはずではなかったと後悔していらっしゃるはずです。

 「今問題のあるところを全て治療して、毎月歯石をとる習慣を身につけなさい!」と しつこいくらい申しあげておりますが、その必然性と効果を理解してくれる人は非常に少ない と感じて降ります。
 右に示した症例の方も「そんなことしなくっても、50年間歯はあるし、何とかなる」と思った に違いありません。「歯がある(28本中26本)」と言っても20歳ころの健全な歯があるわけ ではありません。歯槽膿漏で歯槽骨は半分以上破壊され、被せの中はほとんど大ムシ歯」
 今からでも最善を尽くせば20年くらいはどうにか保たせることも可能だったように思います が、治療を中断して何か事が起こってから他の歯医者さんを転々とするうちにほとんどの歯 を失ってしまったそうです。

 このような事実は決して特殊なものではありません。と言うよりも、ゴクゴク平均的な パターンです。

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