「野生の動物には、ムシ歯や歯槽膿漏
がないのかしら?」「動物は死ぬまで歯があるのに人間は…不公平!」
本当にそうでしょうか。動物園の動物には、ムシ歯も歯槽膿漏もあります。柔らかい食生活、
甘い食べ物、確かにこれも原因の1つです。歯が無くなる事、これは自然界では死を
意味します。
考古学的にも、時代をさかのぼれば古い時代程、歯の無い(無歯顎)
人骨が少なくなります。これは、
歯の手入れなんかしなくても30〜40年は自然の状態で使用が可能です。ところが、
食生活と医学の進歩により人生50年の時代が訪れると、何も手入れしないでいると、
人生の末期には歯無しの状態でした。
それでも生きていける人間は幸せかもしれませんが、やはり不便です。そこで、生活の知恵として
“歯磨き”が登場しました。最初は木の繊維を噛ったり、
塩で磨いたりですが、これで結構十分な効果がありました。
「昔のひとには、歯槽膿漏がなかった。幸せだなぁ…」
だから塩で歯を磨くと言う人が結構います。
ちょっと待って下さい。時代劇でも老婆は歯無しと相場が決まっています。60歳を過ぎた老人は、
今も昔も歯無しと相場が決まっています。つまり、昔ながらの手入れでは、歯の寿命は
50〜60年なのかもしれません。勿論、例外はあります。
幸せな事に、戦後、食糧と医療事情の向上により人生80年以上の時代になりました。これは、
野生の動物や昔の人には想像もつかない幸せですが、これをより幸せに感じる為には
時代に即した歯の手入れが必要です。